2014年3月 第一回定例会一般質問 HOSHINOTAKASHI


質問(星野)−1、エネルギー政策
          @再エネ導入に向けた道の取り組み

 初めに、エネルギー政策について、4点伺います。
 知事は、省エネ・新エネ促進条例の前文を引き合いに出され、脱原発の視点に立って、再生可能エネルギーの導入を促進すると、幾度となく答弁されています。恐らく、私のきょうの質問に対する答弁でも引用されることと思います。
 では、そもそも、脱原発の視点に立つとは、具体的に何を意味するのかを明確にしなければなりません。全国に例を見ない、いわゆる脱原発条例は、どのような背景のもとで制定されたのでしょうか。
 制定当時、北海道電力は、泊原子力発電所3号機の建設を国に申請し、知事の同意を求めていました。道民世論を二分し、白熱した道議会議論が続く中、当時の堀知事は、2000年9月6日未明、臨時議会において、北電の電源開発計画は妥当と同意しました。
 この議会で、それまで継続審議となっていた省エネ・新エネ促進条例は、民主会派が提出した、「過渡的なエネルギーとしての位置づけ」「脱原発の視点」という表現を挿入する修正案を全会一致で可決し、ここに全国初の脱原発条例が制定されたわけであります。
 当時、修正案を起案した一人として申し上げます。
 本条例前文は、本道にあっては、今後、原発の新増設はしないという強い思いを込めたつもりです。知事には、脱原発の視点に立って、再生可能エネルギーの導入を促進するという条例前文に込められた意味を、ぜひ、かみしめていただきたいと思います。
 そこで伺います。
 まず、導入拡大に向けた取り組みについてです。

 道は、年度内に、再生可能エネルギー導入の数値目標を明記した省エネ・新エネ促進行動計画を策定しようとしています。
 しかし、計画案を読む限り、目標とする数値の根拠は、残念ながら、国、民間、地方の取り組みに依拠しただけと言えます。道の計画なのですから、道みずからが何をすべきかが問われていると考えますが、いかがでしょうか。


答弁(知事)−1、エネルギー政策
          @再エネ導入に向けた道の取り組み

 ○知事高橋はるみ君(登壇)星野議員の御質問にお答えをいたします。
 最初に、新エネルギーの導入目標についてでありますが、北海道の豊かな新エネルギーのポテンシャルを効果的に生かしていくためには、出力変動やコストなどの新エネルギーの課題や、系統規模、送電網といった本道の制約を踏まえた取り組みが必要であります。
 このため、道といたしましては、このたびの目標設定に当たって、地産地消の取り組みの拡大や大型プロジェクトの実現に加え、送電インフラの整備、蓄電や需給調整の技術開発など、新エネルギーの導入拡大に必要な条件を明らかにすることとし、こうした条件の整備により期待できる導入量を目標値として取りまとめたところであります。
 現在、エネルギーに関する研究開発が国内外で積極的に進められているところであり、道といたしましては、本道の新たな可能性の発揮につながる新技術開発などが行われることを期待し、実証プロジェクトの誘致などに取り組んでまいる所存であります。

 質問(星野)−1、エネルギー政策
          A導入目標設定にあたっての前提条件

  次に、再生可能エネルギーの導入目標についてです。
 計画では、目標を達成するために、北本連系の増強やメガソーラー展開など、五つの前提を挙げています。しかし、不十分です。
 今後、不安定とされる再生可能エネルギーの安定化を進める科学技術が進歩すれば、発電量は格段に上積みされるはずです。科学技術の進歩は、常に新しい可能性をもたらします。その意味で、再生可能エネルギーの弱点と言われている発電の不安定さを克服する科学技術の進歩を、6番目の前提として加えるべきと考えます。いかがでしょうか。

答弁(辻泰弘経済部長)−1、エネルギー政策
          A導入目標設定にあたっての前提条件

  新エネルギーの導入拡大についてでありますが、道といたしましては、新エネルギーの導入拡大に必要な条件整備を図るため、エネルギーの地産地消や実証開発プロジェクトの集積、さらには、送電インフラ等の基盤整備の三つを柱に、取り組みを進めてまいる考えでございます。
 このため、事業者や地域の取り組みの段階に応じた支援施策の充実を図るとともに、産学官が連携した研究開発の促進や、バイオマス、地熱などのプロジェクトの実現に向けた情報提供、地域の関係者における理解促進などの支援に取り組むほか、送電インフラの整備や低コスト化に向けた技術開発等に関し、国、道内外の企業へ取り組みを呼びかけるなど、地域や企業の皆様と一体となって、本道の可能性を最大限に発揮できるよう、取り組んでまいる考えでございます。

  質問(星野)−1、エネルギー政策
          B再エネのベースロード電源化の可能性

 次に、再生可能エネルギーをベースロード電源にする可能性について伺います。
 国は、原発を、石炭、一般水力、地熱とともに、ベースロード電源と位置づけました。その定義からすると、再生可能エネルギーは、現段階ではベースロード電源として位置づけることは不可能です。
 しかし、今後の科学技術の進歩を前提とするなら再生可能エネルギーをベースロード電源と位置づけることも論理的には可能と考えます。その場合のクリアすべき課題は何と考えているでしょうか、伺います。

 答弁(辻泰弘経済部長)−1、エネルギー政策
          B再エネのベースロード電源化の可能性

 次に、ベースロード電源についてでありますが、さきに公表された、エネルギー基本計画の政府原案では、発電コストが低廉で、昼夜を問わず安定的に稼働できる電源をベースロード電源としており、再生可能エネルギーでは、地熱発電や流れ込み式の水力発電がベースロード電源とされているところでございます。
 一方、太陽光は、出力変動やコストの面で、また、風力は、供給の変動性に対応する十分な調整力の確保などに課題があり、その導入拡大に向けては、低コスト化に係る技術革新、送電インフラの整備や、広域的な運用による調整力の確保、蓄電池の活用などのさまざまな取り組みを進めていくことが必要と考えているところでございます。

   質問(星野)−1、エネルギー政策
          C脱原発依存への道のり

  エネルギー政策に関して、最後は、原子力発電についてです。
 知事が、脱原発の視点に立って、エネルギー政策を進めるのであれば、スクラップ・アンド・ビルドの原則に立たなければならないと考えます。
 一方で、再生可能エネルギーの導入を積み上げつつ、他方で、原発の稼働率を下げていく、そして、最終的には、原発に依存しない北海道をつくり上げていくという考えが求められると思いますが、いかがでしょうか。

 答弁(知事)−1、エネルギー政策
          C脱原発依存への道のり

  次に、今後のエネルギー政策の考え方についてでありますが、道では、省エネ・新エネ促進条例において、「脱原発の視点に立って、限りある資源を可能な限り将来に引き継ぐとともに、北海道内で自立的に確保できる新しいエネルギーの利用を拡大する責務を有している。」としているところであります。
 エネルギーは、暮らしと経済の基盤であり、私といたしましては、省エネ・新エネ促進条例を踏まえ、多様なエネルギー源のもと、安定供給が確保されていくよう、道内で自立的に確保が可能で、地域ごとにそれぞれ特色を有する新エネルギーの導入拡大を図っていくことが重要と考えるところであります。

    質問(星野)−2、水素社会への対応
          @水素社会到来に対する評価

  次に、大きな項目の2番目です。
 水素社会への対応について、3点伺います。
 まず、水素社会の到来についてです。
 燃料電池で走る自家用車の実用化は目前です。家庭用燃料電池発電も急速な普及を見せています。水素社会の到来は目前と考えます。こうした最近の流れを知事はどう評価されるでしょうか、伺います。

  答弁(知事)−2、水素社会への対応
          @水素社会到来に対する評価

 次に、水素エネルギーの評価についてでありますが、水素は、自然には単独では存在しないところでありますが、化石燃料や無尽蔵に存在する水などからも製造が可能であるなど、供給源が多様であるとともに、利用段階で二酸化炭素を排出しないなど、環境面でもすぐれた特徴を有しているものと認識いたします。
 こうしたことから、家庭用燃料電池や、平成27年から市場投入される予定の燃料電池自動車を初め、生活、産業活動における水素エネルギーの本格的な利活用の実現に向け、国や企業など、多くの主体によって、さまざまな検討、研究開発、実証事業などが進められており、低コスト化や安全性の確保などの課題がありますが、今後、次世代を担う有力なエネルギー源の一つとなることが期待されているものと認識いたします。

   質問(星野)−2、水素社会への対応
          A水素エネルギーの可能性についての認識

 次に、水素エネルギーの可能性についてであります。
 現時点では実用化されていない技術でも、例えば、再生可能エネルギーの地域的な偏りや時間による変動などの問題に対応するなど、水素エネルギーは、この国のエネルギー事情を一変させる可能性を秘めています。水素事業が持つ潜在的な可能性を、知事はどのようなものとして認識しているでしょうか、伺います。

  答弁(辻泰弘経済部長)−2、水素社会への対応
          A水素エネルギーの可能性についての認識

 次に、水素社会への対応に関し、まず、水素エネルギーに対する認識についてでありますが、水素エネルギーにつきましては、家庭用燃料電池、自動車での活用が実用化段階に入りつつあるほか、将来的には、水素発電所や、店舗、工場で利用する業務用燃料電池、バスや船などの燃料、さらには、再生可能エネルギーを含むさまざまなエネルギーの貯蔵、輸送などの手段として、幅広い分野での活用が期待されているところでございます。
 これらの実現に向けては、水素の製造から貯蔵、輸送、利用のあらゆる段階にわたる低コスト化や、安全性の向上などに向けた技術開発、さらには、水素ステーションを初めとした、供給システムにおけるインフラ整備などを着実に進めていくことが必要であると認識いたしております。

 質問(星野)−2、水素社会への対応
          B具体的取り組みに対する評価と応援

 最後は、水素エネルギーに関する取り組みについてです。
 民間は敏感です。本道においても、室蘭などを中心に、さまざまな動きが始まっています。こうした取り組みを、道はどのように把握し、あるいは評価し、そして、いかなる応援をしようとしているのでしょうか、伺います。

  答弁(辻泰弘経済部長)−2、水素社会への対応
          B具体的取り組みに対する評価と応援

 次に、水素エネルギーの活用に向けた取り組みについてでありますが、道では、これまでも、室蘭市におきまして、製鉄所から副次的に発生する水素などを活用して低炭素化を目指す研究会に参加するとともに、道総研におきまして、燃料電池の凍結防止技術や、燃料電池を活用した新エネルギーの有効利用システムの開発に取り組んできたところでございます。
 今後に向けては、複数の企業が連携して取り組む、燃料電池を効果的に活用した積雪寒冷地型のスマートハウスの開発などを支援するほか、産学官の連携による北海道グリーン・コミュニティ推進ネットワークの場を通じて、水素を活用するビジネスの開発の可能性などについて検討するとともに、道内外の企業による、水素など、次世代を担うエネルギー関連の実証開発プロジェクトの集積促進に取り組んでまいる考えでございます。

 質問(星野)−3、科学技術の振興
          @国における、未来の先取り事業への評価

 大きな項目の3番目です。
 科学技術振興について、5点伺います。
 知事は、北海道の優位性として、食、再生可能エネルギーを掲げています。私も、これらは、国内の他地域に比べて、圧倒的な優位性を持つと考えます。
 食でいえば、全国のどの都市でも、北海道物産展は大盛況と聞きます。新鮮な農水産物は魅力的なのですから、当然です。
 再生可能エネルギーでいえば、本道の広大な土地は、太陽パネルを敷き詰めるのに最適なのですから、当然です。
 こうした牧歌的な地方都市は魅力的ではありますが、私といたしましては、北海道がそこにとどまっていていいのかという思いを強くしております。新生北海道づくりについて、そこに依拠しているだけではいけないと考えるからです。
 高度経済成長を経て、工業化を進めてきた我が国は、その結果、都市と地方の格差が拡大してきました。今こそ、地方からの反撃を始めなければなりません。
 さて、国では、東京オリンピック開催を通じて、技術立国・日本を世界にアピールするとしています。そのために、未来の先取りと称し、各分野の科学技術を10年ほど前倒しするとしているようです。
 例えば、競技会場の天候対策として、ゲリラ豪雨を極めて正確に予見する、知覚を備えた義手や義足を開発する、人体認証システムを高度化させ、外国人選手をパスポートフリーにする、あるいは、高速道路に専用レーンを設け、無人カーを走行させるなどが挙げられています。
 そこで伺います。
 まず、国の取り組みの評価についてです。
 こうした国の取り組みは、期待される先端科学技術の開発期間の短縮などを通じて、研究開発の加速化を進めようというものです。
 しかし、例えば、土木・建築工作物なら、人と資金を集中的に投入することで、工期を短縮することは可能でしょうが、果たして、科学技術分野においても可能なのでしょうか。私は、少々違和感を覚えるのですが、知事はどう評価されるでしょうか、伺います。

 答弁(知事)−3、科学技術の振興
          @国における、未来の先取り事業への評価

 次に、先端科学技術開発の取り組みについてでありますが、国では、2020年を、五輪開催の年とするだけではなく、新たな成長に向かうターゲットイヤーとして位置づけ、日本全体を元気にするビジョンを打ち出すため、将来の政策課題の解決に貢献することが期待される先端科学技術の研究開発の加速化について、さまざまな観点から検討されているものと承知をいたしております。
 またあわせて、科学技術のイノベーション政策については、概算要求に当たって、各府省間の事業調整を行い、実用化につながる連携施策の構築を図る仕組みが導入されているところであります。
 私といたしましては、科学技術の振興を通じて、我が国の経済社会の発展に積極的に取り組んでいくことは重要なことと認識をしており、このたびのビジョンの策定と、その実現に向けた取り組みも、そうした観点から進められていくものと考えております。

 質問(星野)−3、科学技術の振興
          A道内における研究開発の実態と実用化

 次に、研究開発の実態についてです。
 視点を本道に転じます。
 道内には、多くの研究者、開発者がいます。彼らが、現段階で、どのような分野で何を目指して研究開発しているのかを把握することは重要です。産学官の連携により新生北海道を目指す知事にとっては、欠かせない課題と考えます。本道における実態を把握するとともに、事業化、実用化を促進すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 答弁(柴田達夫総合政策部長)−3、科学技術の振興
          A道内における研究開発の実態と実用化

 本道における研究開発の状況についてでございますが、道内では、大学や研究機関などにおいて、多くの研究者の方々が活動しておりますが、その研究開発の成果を、事業化、実用化につなげていくためには、研究者が実現を目指す技術シーズと、企業や地域が求めるニーズに関する適宜的確な情報の収集、発信が不可欠なものと認識をいたしております。
 このため、道では、道経産局などとともに、研究開発の成果である知的財産を活用した、研究機関と企業とのマッチング支援などを進めているところでありまして、今後とも、道内における研究開発の情報収集に努め、事業化、実用化への橋渡しに取り組んでまいる考えであります

 質問(星野)−3、科学技術の振興
          B本道版、未来の先取り

 次に、本道版の未来の先取りについてです。
 国で取り組もうとしている未来の先取りについて、先ほど、私は、少々違和感があると申し上げました。しかし、実現可能であるとするならば、夢の取り組みであることは言うまでもありません。この際、本道版の未来の先取りとしてやってみる気はありませんか。それは、つまり、先進的な科学技術を基盤とする北海道づくりに向けて、高度・先端的な研究開発を推進するということでもあります。いかがでしょうか。

 答弁(知事)−3、科学技術の振興
          B本道版、未来の先取り

 次に、本道の優位性を生かした研究開発の推進に関してでありますが、道では、新北海道科学技術振興戦略において、本道の特性を生かした食・健康・医療分野と環境・エネルギー分野を、地域イノベーションの創出に向けた戦略的な取り組み分野と位置づけているところであります。
 道といたしましては、こうした食や医療、環境の分野などで今日まで培ってきた研究開発の蓄積をベースに、世界に貢献する最先端の研究開発を推進するとともに、大学や企業など関係機関との連携を一層強化し、世界への情報発信をするなど、積極的な取り組みを進めてまいる考えであります。

 質問(星野)−3、科学技術の振興
          C本道の可能性を世界に発信

 次に、本道における発展可能性の世界への発信についてです。
 北海道は、高緯度に位置し、積雪寒冷地という地域特性を持っています。これは、IT産業を含む工業化に不可欠と言われる豊富な水資源を持つことを意味しています。
 北海道としても、本道の持つ潜在力や優位性を生かした研究開発の推進により、東京オリンピック、及び、誘致が推測される札幌冬季オリンピックに向けて、本道の発展可能性を世界に発信する必要があると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 答弁(柴田達夫総合政策部長)−3、科学技術の振興
         C本道の可能性を世界に発信


 次に、先進的な研究開発の推進についてでございますが、国では、これまで、地域資源を生かし、我が国の発展に貢献し得る科学技術の振興を推進しているところであり、道では、地域の独自性や優位性を基盤とする研究開発の推進に向けた新たな事業の創設など、積極的な提案を行ってきたところでございます。
 道といたしましては、今後、国において検討される、先進的な研究開発の加速化に関するプロジェクトについて、情報収集に努めるとともに、効果的な提案を行うことにより、地域から生み出される科学技術がプロジェクトの展開に大いに貢献し得るよう、取り組んでまいる考えでございます。


 質問(星野)−3、科学技術の振興
          D再生可能エネルギーの高付加価値化

 科学技術振興に関して、最後は、再生可能エネルギーの高付加価値化についてです。
 研究開発の推進は、それぞれの地域特性や優位性を踏まえて展開されるべきです。本道の優位性は、豊かな自然から産出される農林水産1次産品と、豊富な再生可能エネルギーであります。
 前者は、さまざまな高付加価値化に取り組まれています。しかし、後者、すなわち再生可能エネルギーに対する高付加価値化の取り組みは不十分です。確かに、再生可能エネルギーは豊富に賦存していますが、弱点として、電源としては不安定な点が挙げられています。私もそう思います。
 再生可能エネルギーの弱点を克服し、電源としての安定性を目指す科学技術の集積が重要です。そのことは、再生可能エネルギーの高付加価値化を図ることになるからであります。いかがでしょうか、伺います。

 答弁(知事)−3、科学技術の振興
          D再生可能エネルギーの高付加価値化

 次に、再生可能エネルギーに関する取り組みについてでありますが、本道は、太陽光や風力、積雪寒冷な気候から生まれる雪氷冷熱、1次産業から排出されるバイオマスなど、再生可能エネルギーの宝庫であります。
 こうしたことから、道では、新北海道科学技術振興戦略においても、再生可能エネルギーを基盤とする持続可能な地域社会づくりに向けた取り組みを推進することとしており、本道に豊富に存在する資源の循環と有効利用を図りながら、本道の特性を生かした再生可能エネルギーに関し、供給の安定化なども含めた研究開発を推進してまいる考えであります。

  質問(星野)−4、高等技術専門学校の再編計画
          @札幌校の科目縮小、廃止

 大きな項目の4番目です。
 高等技術専門学院の道央3校の再編計画について、3点伺います。
 ものづくり産業を持続的に発展させるためには、中核的技能者の育成は欠かせません。道は、道立高等技術専門学院の道央3校の再編方針を年度内にも確定しようとしています。
 まず、札幌技専における訓練科の縮小、廃止についてです。
 室蘭校、苫小牧校は、ものづくり産業を振興するため、人材育成の観点から充実強化するとしています。この点については評価いたします。
 しかし、なぜ、札幌校の訓練科を縮小したり廃止しなければならないのでしょうか。定員に対する応募状況や卒業者に対する求人、さらには就職状況など、どれをとっても納得できるものではありません。知事の見解を求めます。

  答弁(辻泰弘経済部長)−4、高等技術専門学校の再編計画
          @札幌校の科目縮小、廃止

 次に、高等技術専門学院の再編に関し、まず、札幌技専の訓練科についてでありますが、道では、ものづくり関連企業の集積が進む道央圏におきまして、機械・金属関連分野を中心として、若手技能者の育成強化を図ることを目的に、このたび、高等技専の道央3校の再編方針案を策定したところでございます。
 方針案では、厳しい道財政のもと、限られた資源を、道として重点を置く分野に集中していく必要もありますことから、一部科目につきまして、民間との役割分担や入校者数の状況なども踏まえて、廃止または縮小することも盛り込んでいるところであります。

 質問(星野)−4、高等技術専門学校の再編計画
          A計画の見直し

 次に、計画の見直しについてです。
 道は、年度内に成案を得たいとされていますが、今後、技能者をめぐる社会状況の変化も考えられます。計画は、状況に的確かつ柔軟に対応しつつ、不断に見直されるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
 また、これまでも、定員を超えて入校させた例もあります。計画の運用についても、実態に即しつつ、工夫される必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 答弁(知事)−4、高等技術専門学校の再編計画
          A計画の見直し

 次に、高等技術専門学院のあり方についてでありますが、高等技専が、地域の産業ニーズに応じた人材育成を着実に担い続けていくためには、社会経済情勢の変化に応じて、そのあり方を不断に見直していくことが必要であります。
 高等技専については、平成20年に策定した基本方針に基づき、さまざまな見直しを行ってきたところでありますが、道といたしましては、今後とも、効果的な人材育成を図ることができるよう、地域や関係業界の声をよく聞きながら、常にそのあり方を検討するとともに、廃止を予定している科目を含め、関係機関とも連携をして、産業ニーズに対応した短期的な訓練の充実を進めるなど、日々の運営についても最大限工夫をしてまいる考えであります。

 質問(星野)−4、高等技術専門学校の再編計画
          B関係機関との連携

 技専問題に関して、最後は、関係機関の連携による人材育成についてです。
 計画のスタートは、平成29年度以降とされています。関係業界は、さまざまな要望を持っています。スタートまでに、こうした要望を取り入れることも必要と考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 答弁(辻泰弘経済部長)−4、高等技術専門学校の再編計画
          B関係機関との連携

 最後に、関係機関との連携等についてでありますが、このたび、道央3校の再編に伴い廃止する、札幌技専の電子工学科やエクステリア技術科に関しましては、新たに、関係業界団体と連携して、電気工事士、消防設備士、ブロック建築技能士等を養成する委託訓練や、在職者向けの訓練を代替訓練として実施することにより、道といたしましても、業界の人材確保に支障を来たさないよう、努めてまいる考えでございます。
 また、職業訓練の実施に当たりましては、日々変化する産業界のニーズに対応していくため、専門学校、国のポリテクセンター等の関係機関や関係業界の持っている多様な技術、ノウハウを活用して行うことが有効であると考えており、今後とも、関係者と連携して、さまざまな取り組みを行うことで、地域や企業が必要とする産業人材の育成に努めてまいる考えでございます。

 質問(星野)−5、道民の日制定
          @有識者からの意見聴取、結果と評価

 最後の項目です。
 「道民の日」について、4点伺います。
 私は、過去2回、この場所から「道民の日」制定について提言をしてまいりました。1回目は、民主党会派内の制定プロジェクトの動きについて、知事からは、興味深い取り組みであり、私としてもさまざまな応援をするとの答弁をいただきました。2回目は、去年ですが、知事みずからが制定すべきではないかという私の提言に対して、知事は、未来志向の「道民の日」は新生北海道づくりの理念とも重なると答弁されました。
 そこで伺います。
 まず、有識者の意見聴取についてです。
 道は、これらの議会議論を踏まえ、制定に向けて検討する参考として、有識者の意見を聴取したと承知しています。いつ、どのような形で意見聴取をしたのでしょうか。その結果はどうだったのでしょうか。さらに、知事は、その結果をどう評価されているのでしょうか、あわせて伺います。

 答弁(竹谷千里環境生活部長)−5、道民の日制定
          @有識者からの意見聴取、結果と評価

 意見聴取などについてでございますが、「道民の日」の意義等につきましては、多様な捉え方があると考えられることから、環境生活部が所管する北海道環境審議会や北海道青少年健全育成審議会などの委員を対象とし、昨年11月にアンケート調査を実施いたしました。
 その結果、80%を超える76名の方々から御回答をいただき、そのうち、「道民の日」を設けることに対し、肯定的な回答が約7割を占めたところでございますが、関心の度合いや制定の意義、設定する日については、さまざまな御意見があるものと改めて認識したところでございます。

 質問(星野)−5、道民の日制定
          Aあらゆるジャンルの意向把握

 次に、団体等の意向把握についてです。
 立ちどまることなく、次のステップに進むべきと考えます。「道民の日」は、各界各層に求心力を働かせられるものとして制定されることが重要です。
 有識者の意向把握に続き、経済団体、文化・スポーツ団体、福祉団体、環境団体、教育界など、あらゆるジャンルの意向を把握することが求められると考えますが、いかがでしょうか。

 答弁(竹谷千里環境生活部長)−5、道民の日制定
          Aあらゆるジャンルの意向把握

  次に、団体等の意向把握についてでございますが、このたび実施したアンケート調査につきましては、各界の有識者が参画する審議会の委員を対象に実施し、多種多様な御意見をいただいたところであり、今後は、さらに、経済や文化、スポーツ、福祉、教育など、より幅広い分野にわたり御意見を伺っていくことが必要と考えるところでございます。

 質問(星野)−5、道民の日制定
          B全庁横断的取り組み

 次に、全庁横断的な取り組みについてです。
 この課題は、環境生活部が所管をされているようですが、テーマは、道庁各部、各地域にまたがっています。この際、全庁横断的な検討チームを設置すべきではないでしょうか。同時に、かつて設置した道民の日制定推進協議会を再開することも必要と考えます。あわせて伺います。

 答弁(竹谷千里環境生活部長)−5、道民の日制定
          B全庁横断的取り組み

 最後に、庁内における検討についてでございますが、「道民の日」につきましては、昭和51年当時に、外部団体も参画した、道民の日制定推進協議会を設置し、検討を行った経緯もございますが、今日では、既に構成団体が解散しているなどの状況もあることから、今後、道といたしましては、企業やNPOなどとの協働による取り組みを推進するために設置した、庁内横断的な組織である協働推進会議等を活用し、外部団体も参画した今後の議論の進め方について、幅広い検討を行ってまいる考えでございます。

 質問(星野)−5、道民の日制定
          C道民の日の位置づけ

 最後に、「道民の日」の位置づけについてです。
 「道民の日」の制定には、道民自身の機運の盛り上がりが重要です。しかし、そうした機運は自然発生的に生じるものではありません。
 知事は、新生北海道をつくるのであれば、まさに北海道が生まれ変わる日を「道民の日」と定め、みずからが道民の機運づくりの先頭に立つべきではないでしょうか、伺います。
 以上です。

 答弁(知事)−5、道民の日制定
          C道民の日の位置づけ

 最後に、「道民の日」についてでありますが、北海道には、雄大な自然や、豊富で新鮮な農水産物、先人のフロンティア精神を受け継ぐ人々など、すばらしい宝物があり、私といたしましては、「道民の日」の制定に関する議論が、同時に、こういった北海道価値を道民が共有し、未来に向けて磨き上げる場となることを期待するものであります。
 「道民の日」の制定に向けては、これまで、関係審議会の委員の方々にアンケート調査を実施してきたところでありますが、議員が御指摘のように、道民の皆様の機運の盛り上がりが重要でありますことから、今後、庁内における議論だけではなく、道民の各界各層の御意見を伺いながら、その制定の意義や設定の日、推進手法などについて、広く検討を進めてまいる考えであります。



 再質問(星野)−1、道内再エネで賄える、平均的家庭の軒数

 ただいまの答弁から、幾つかの点が明らかとなりました。
 水素社会が到来すること、水素は無尽蔵な水から生成されること、そして、再生可能エネルギーを大量に貯蔵する能力を持っていること、また、水素は次世代を担う有力なエネルギー源になるという認識を道が持っているということ、再生可能エネルギーに安定化という付加価値を付与するため、道は、研究開発を進めるということ、さらに、再生可能エネルギーをベースロード電源にするためには、低コスト化にかかわる技術革新、広域的な運用による調整力の確保、蓄電池の活用など、クリアすべき課題はあるものの、それらが克服されれば、論理的にはベースロード電源化できることなどが明らかになったわけです。
 これらの答弁を聞いていまして、私は、はたと思ったのですが、風力発電や太陽光発電など、それ自体が不安定な電源を安定化させることは、もちろん重要なのですけれども、水素発電の研究開発こそが、当面、現実的ではないかというふうに思ったわけです。
 尽きることのない水素という燃料を使い、発電に伴う廃棄物は水だけで、しかも、超安定的な電源です。その燃料である水素を生成するために再生可能エネルギーを活用する社会を、必ず到来させなければならないと思った次第です。
 私は、昨年の第1回定例会におきまして、北海道を日本の再生可能エネルギー発電所にするぐらいの気概を持って取り組むべきだと申し上げました。果たして、それが可能なのか、きょう、検証したいと思います。
 水素を燃料とした発電についてです。
 豊富と言われている本道の再生可能エネルギーについて、環境省が示しているポテンシャルをもとに数値化した場合、設備容量はおよそ1億5000万キロワットで、現状の効率、つまり、曇った日とか、風が吹かない日とか、いろいろありますから、太陽光発電は12%ぐらいしか見ないのですけれども、それらを勘案した場合の発電総量は約3560億キロワットアワーとなります。
 この電力を使用して、水を電気分解しまして水素を生成、貯蔵し、その水素を燃料として、水素発電あるいは燃料電池発電をした場合、本道の平均的家庭の何軒分の年間使用電力を賄うことができるのでしょうか、伺います。

  答弁(知事)−1、道内再エネで賄える、平均的家庭の軒数

 水素を、大量の蓄電や発電に活用することは、大きな可能性を秘めているところでありますが、電気から水素、水素から再び電気といった、何段階ものプロセスにより、エネルギーを生み出していくことは、そのエネルギーのロスや、低コスト化、保管技術の開発など、まだまだ多くの課題があると指摘されているところでもあります。
 また、環境省の調査は、傾斜地など立地が困難な場所を除き、全道のポテンシャルを、採算性等は考慮せず、幅広く推計したものではありますが、仮に、議員が御質問の、約3560億キロワットアワーの電力で水素を製造、貯蔵し、再度、この水素で発電したといたしますと、国内の試験結果などをもとに計算した場合、約1400億キロワットアワーの電力となり、標準家庭の約4500万世帯分の年間使用量に相当すると認識をいたします。

 再質問(星野)−2、再エネ導入目標の見直し

 次に、導入目標の見直しについてです。
 本道の特性を生かした再生可能エネルギーに関して、供給の安定化なども含めた研究開発を進めていくという答弁がありました。
 再生可能エネルギーの導入促進は、社会経済の変化のみならず、このような科学技術の進歩と表裏の関係にあると考えます。そうした流れを反映し、今後、段階的に目標数値を見直していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 答弁(知事)−2、再エネ導入目標の見直し

 次に、新エネルギーの導入目標についてでありますが、本道の新エネルギーのポテンシャルを生かしていくためには、出力変動やコストなどの課題を踏まえた取り組みが必要であります。
 このため、道といたしましては、送電インフラの整備、蓄電や需給調整の技術開発などに関し、国や道内外の企業に取り組みを呼びかけるとともに、エネルギーに関する研究開発の動向等を見据えながら、本道の新たな可能性の発揮につながる新技術開発などを踏まえつつ、新エネルギーの導入拡大に向けて、取り組みを進めてまいる考えであります。

 再質問(星野)−3、脱原発の視点

 最後は、脱原発の視点についてです。
 コスト面及び技術上の研究開発問題など、クリアすべき課題は多いと私も思います。
 しかし、時間の経過とともに、再生可能エネルギー導入量は、着実、確実にビルドされていくことになります。重要なのは、それに反比例する形で、原発に対する依存度を低減させていく、つまりスクラップしていくことであります。
 スクラップ・アンド・ビルド、それこそが、脱原発の視点に立って、再生可能エネルギー導入を促進することの姿だと考えます。条例に明記されているように、それは知事の責務でもあります。いかがでしょうか、伺います。

  答弁(知事)−3、脱原発の視点

 最後に、エネルギー政策の考え方についてでありますが、道では、省エネ・新エネ促進条例において、「脱原発の視点に立って、限りある資源を可能な限り将来に引き継ぐとともに、北海道内で自立的に確保できる新しいエネルギーの利用を拡大する責務を有している。」としているところであり、また、エネルギー基本計画の政府原案においては、「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。」としているところであります。
 私といたしましては、本条例や、今後決定される国の基本計画を踏まえ、本道のポテンシャルを生かした新エネルギーの導入拡大に向けて、出力変動やコストなどの課題に対応するために必要な条件整備と、こうした条件の整備により期待できる導入量を積み上げ、道外での消費も含めた目標数値を取りまとめることとしており、地域や企業の皆様との連携のもと、中長期的な視点に立って、新エネルギーを本道の主要なエネルギー源の一つとしていけるよう、取り組んでまいる考えであります。
 以上であります。



(2014年3月/本会議一般質問)

HOSHINOTAKASHI