2015年9月18日 第三回定例会一般質問 HOSHINOTAKASHI

 目次

一 観光振興について

 (一) 観光消費額について
 (二) 
観光客の旅行形態の変化への対応について
 (三) 道外観光客の誘致に向けた取組について
 (四) 縄文文化の発信について
 (五) アイヌ文化の発信について
 (六) 観光税導入について

二 道産食品の輸出と移出について

 (一) 道産食品の輸出と国内移出額について
 (二) 移出支援について
 (三) どさんこプラザについて

三 科学技術振興について

 (一) 第2期に向けた取組などについて
 (二) 道と道総研の関係について
 (三) 直流送電と交流送電に関わる国内外の動きについて
 (四) 道の省エネ政策への位置づけについて
 (五) 直流送電に係わる研究開発について

四 道庁周辺整備について

 (一) 道庁周辺整備について
 (二) 道庁周辺における公園整備について
 (三) 道庁エリアへの新エネルギー導入について

五 エネルギー問題について

 (一) 再生可能エネルギーの導入について
  1 太陽光発電に関わる情報提供について
  2 荒廃農地の有効活用について
  3 ワンストップの説明体制について
 (二) 洋上風力発電について
  1 洋上風力発電に対する知事の認識について
  2 国の実証試験の誘致について
  3 離島における導入効果について
  4 地場産業のビジネスチャンスについて
 (三) 水素発電について
  1 水素社会の未来像について
  2 水素発電の位置づけについて
  3 道有施設への再生可能エネルギーの導入について
 (四) 知事の政治姿勢について


質問

一 観光振興について
 (一) 観光消費額について

  一昨年、知事は、国をつくり上げる気概を持つと答弁されました。今でもその気持ちにお変わりはないという前提で伺ってまいります。

  まず、観光振興についてです。
  外国人観光客300万人の目標それ自体は否定しません。しかし、なぜ外国人にこだわるのか、私には違和感があります。直近の資料によれば、道内における観光消費額は約1兆3000億円です。その中で、外国人は6.6%を占めるにすぎません。93.4%は日本人のそれによるものです。この事実は、本道の観光産業を支えているのは実は日本人だということを示しております。
  いわゆる爆買いなど、1人当たりの消費額に目が行きがちですが、日本人観光客こそが上客なのです。この実態を知事はどう評価され、対応されますか、見解を伺います。

答弁(神姿子・経済部観光振興監)

  道外からの観光客の消費額などについてでありますが、道が平成23年に実施した調査によりますと、道内外からの観光客による総観光消費額は約1兆3000億円で、このうち、外国人観光客は約900億円であるのに対し、国内客は約4900億円であり、国内客による観光消費は大きいものと考えているところであります。
  このため、道としては、来年3月26日に決定いたしました北海道新幹線の開業を絶好の機会と捉え、東北や北関東に向けた積極的なプロモーションや、閑散期の旅行需要喚起に取り組むなど、国内の観光客のさらなる誘致を進めてまいる考えであります。

質問

 (二) 観光客の旅行形態の変化への対応について

 団塊の世代が本格的な退職時代に入った今日、旅行のスタイルが大きく変わってきたと指摘されています。団体客を重視した時代から、経済的に余裕のある個人客を対象とする傾向があらわれ始めたというのです。この変化に鈍感でいると、道の観光政策は誤った道に迷い込んでしまいます。知事の認識と対応について伺います。

答弁(神姿子・経済部観光振興監)

  観光客の旅行形態の変化への対応についてでありますが、道が実施している観光客動態・満足度調査などでは、家族旅行や個人旅行が大半を占めるなど、旅行形態が、団体周遊型から個人型へと移行してきている中で、旅行意欲の旺盛な富裕層や、サイクリングといった特定のテーマを持ったグループなどの多様化する旅行ニーズを先取りした、地域の創意工夫を凝らした取り組みが重要と認識いたしております。
  このため、道では、自然や食など、地域の魅力を生かした着地型商品の開発や、多彩な体験プログラムを組み込んだ滞在交流型の観光地づくり、富裕層に対応した受け入れ体制づくりなどの取り組みを支援してきたところであります。
  道としては、今後とも、時代の変化や観光客のニーズに的確に対応しながら、地域の観光関係者と一体となって、観光客の目線に立ったきめ細やかな観光施策を進めてまいる考えであります。

質問

  (三) 道外観光客の誘致に向けた取組について

 道のこれまでの道外観光客誘致目標数は1000万人でした。内数で、外国人は120万人、道外の日本人は880万人となっています。公約により、外国人観光客誘致目標数を180万人増としながら、全体の目標数値を据え置けば、結果として、道外の日本人の誘致目標数は180万人減ってしまうのです。これは、観光のくにづくり行動計画の数値目標を見直すということでしょうか。見直すのであれば、北海道観光を実質的に支えている道外の日本人観光客の誘致目標数の880万人を堅持するとともに、実現するための効果的政策を打ち出すべきと考えます。いかがでしょうか。

答弁(知事)

   道外観光客の誘致に向けた取り組みなどについてでありますが、昨年度の外国人来道者数は、現在の目標値を大幅に超えていることから、北海道観光審議会において、国内客も含めた目標値などについても御意見を伺うこととしており、計画全体の見直しについては、来年度取りまとめる経済効果調査などの結果を踏まえ、次の計画策定時に検討することといたしております。
  こうした中、道外からの誘客は、経済効果が大きく、大変重要でありますことから、道では、北海道新幹線の開業を好機と捉え、首都圏などでのプロモーションや商談会を開催するほか、地域の資源を生かした魅力ある観光地づくりや人材育成など、受け入れ体制の整備に取り組んでいるところであります。
  私といたしましては、みずからが先頭に立って、今後とも、本道観光の持続的な発展に向け、観光関係者と一丸となって、道外からの観光客誘致に積極的に取り組んでまいります。


質問

  (四) 縄文文化の発信について

  現在、道では、北東北3県などとともに、北海道、北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録を目指していると承知しております。縄文文化は、1万年以上にわたり大規模な戦争もなく、土偶づくりなど、命を大切にする高い精神性を持った、世界でも希有な文化と言われています。縄文遺跡群はもとより、出土品などは、文化振興に資すると同時に、すぐれた観光資源としての意味を持ちます。観光振興に当たり、多面的に活用すべきであり、積極的に国内外に発信すべきと考えますが、いかがでしょうか。

答弁(知事)

  縄文文化に関する情報の発信についてでありますが、道では、縄文遺跡群の世界遺産登録に向けて取り組んできており、その機運の醸成を図るため、北東北3県や遺跡のある自治体、関係団体と連携して、函館市や室蘭市を初め、東京などで、出土品等の展示や、セミナー、シンポジウムなどを開催しているところであります。
  また、遺跡群は、文化資産であるとともに、すぐれた観光資源としての価値も有するものと認識をしており、こうしたことを踏まえ、道内の遺跡群について、英語や中国語、韓国語など多言語で紹介する映像を新たに作成し、道の歴史・文化ポータルサイトなどで公開するほか、この映像を、縄文文化をPRする各種イベントで使用するとともに、主要な交通拠点や観光地などでも利用いただくよう努めるなど、本道を訪れる国内外の観光客の方々に縄文文化の魅力を理解していただくため、今後さらに、情報発信を進めてまいります。

質問

  (五) アイヌ文化の発信について

  本道には、本道にしかない独自の文化があります。国が我が国の先住民族と認めたアイヌ文化です。知事は、先住民族に対する畏敬の念を根底に置き、アイヌ文化振興に取り組むことが重要です。
  一方、アイヌ文化も、縄文文化と同様、文化振興に資すると同時に、貴重な観光資源としての意味を持ちます。
  新千歳空港には、アイヌ文化を展示するコーナーがありますが、不十分です。観光立国を目指すとしながら、空港のイメージは無国籍です。アイヌ文化で空港を埋め尽くすほどの意欲と行動が求められます。いかがでしょうか。

答弁(宮川秀明・環境生活部長)

  観光振興に関して、アイヌ文化の発信についてでありますが、アイヌの人たちが受け継いできた文化は、自然を敬い、共生するという、世界に誇れる独自の文化であり、道では、これまで、関係団体と連携して、道庁本庁舎の1階ロビーでの伝統工芸品の展示や、市民、観光客の待ち合わせにも利用されているJR札幌駅のイランカラプテ像など、多くの方々が訪れる公共施設等においてPRに取り組んできたところであります。
  また、空港でのPRに関しましては、アイヌ文化財団と連携して、新千歳空港を初め、釧路空港や函館空港において、民族衣装や伝統工芸品などの展示を進めてきており、さらに、現在、帯広空港におきましても、新たに展示コーナーの設置を検討しております。
  空港における展示は、国内外から本道を訪れる多くの方々にアイヌ文化の魅力を理解していただくよい機会となりますことから、道といたしましては、今後とも、空港ビルの管理者などの協力を得ながら、アイヌ文化の発信に積極的に取り組んでまいる考えであります。

質問

  (六) 観光税導入について

  次に、観光税導入についてです。
  ハワイでは、ホテル税として9%が課税され、州観光局が観光振興費に充てています。
北海道新幹線開業に伴い、函館に訪れる観光客をいかにして道内観光に誘導するかが大きな課題です。例えば、1泊100円程度の観光税を原資とすれば、観光バス購入の補助なども可能となるでしょう。法定外目的税としての観光税導入に対する知事の見解を伺います。

答弁(神姿子・経済部観光振興監)

  観光に関する法定外目的税についてでありますが、観光に関する新税の導入につきましては、導入の是非や税負担の公平性、税収の使途、納税者の理解などの課題のほか、経済へのマイナスの影響といった懸念があるところでございます。
  一方、国内においては、平成14年度から、東京都において、宿泊料金が1万円以上の宿泊客に、法定外目的税として宿泊税が課税され、それを財源として、観光案内標識といった受け入れ環境の整備など、観光振興施策に活用されているところであり、他の自治体におきましても、こうした新税の検討がなされているものと承知をいたしております。
  道としては、こうした動きも参考にしながら、観光振興を図る上での財源につきましては、新税を含め、収入確保のためのさまざまな取り組みなどを幅広く研究していく必要があるものと考えているところであります。

質問

二 道産食品の輸出と移出について
 (一) 道産食品の輸出と国内移出額について

  次は、道産食品の輸出と移出についてです。
知事は、道産食品の輸出額1000億円を目指しています。国をつくるという決意からするならば、津軽海峡以南に出荷している道産食品の国内向け移出にも着目すべきです。
輸出額をふやすことに異存はありませんが、移出ではなく、輸出にこだわる根拠をお示しください。
  また、国内移出額は横ばいになっているとはいえ、海外輸出額とは桁の違う2兆円規模で推移しています。この大きな市場に注目する必要があります。
  移出拡大は、低迷する我が国の食料自給率の向上にも寄与すると私は考えます。さまざまな政策を動員し、国内移出額の増額を目指すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁(阿部啓二・経済部食産業振興監)

  道産食品の輸出と移出に関し、道産食品の販路拡大についてでありますが、我が国全体の人口が減少する中、日本国内の食の市場は縮小することが見込まれており、海外の成長活力の取り込みによる力強い本道経済の構築に向けて、道産食品の輸出額に関する目標を設定し、官民が一体となって輸出の拡大に取り組もうとしているところでございます。
  現在策定中の北海道創生総合戦略においては、地域資源を生かした食関連産業の振興を掲げており、今後とも、地域の資源を活用した産品の発掘、磨き上げ、さらには高付加価値化などの施策を幅広く展開し、道産食品の移出増に向け、販路拡大に努めてまいる考えでございます。

質問

 (二) 移出支援について

  最近、道南地域を中心に、全道各地で、高級魚であるブリが水揚げされていると聞きます。ところが、本州へのルート確保や鮮度保持を含めたノウハウがないなどの理由で、本州産に比べ、かなり安価でさばかれているというのです。
  気候や海流の変動などに起因した同様の事例が、道内の他地域においても発生していると考えられます。それらについて、知事はどのように把握されているのでしょうか。事例把握を踏まえた、水産品などの移出支援が必要と考えますが、それぞれ具体的にお答えください。

答弁(阿部啓二・経済部食産業振興監)

  次に、水産物などの販路拡大についてでありますが、これまでも流通加工施設の整備などに取り組んできたところでありますが、近年、北海道海域での水揚げが増大しているブリやサバについて、今年度から、漁業者団体と連携し、鮮度管理マニュアルの作成、輸送技術の開発といった出荷体制の構築や、道産魚としての知名度向上などに取り組んでおります。
  また、商談会や物産展などの機会を活用し、北海道のブランド力を生かした水産物や水産加工品の道外への販路拡大に努めているところであります。
今後とも、これらの取り組みを通じ、国内への移出の支援を行ってまいる考えであります。


質問

 (三) どさんこプラザについて

  日本を相手に商売をするという決意が求められます。
例えば、道産品のアンテナショップとしてのどさんこプラザは大きな効果を生んでいると承知していますが、これの全国展開なども検討すべきと考えます。いかがでしょうか。

答弁(知事)

  道産品の輸出等に関し、北海道どさんこプラザについてでありますが、現在、道外における店舗は、東京都内の有楽町店と池袋店、神奈川県内の相模原店、埼玉県内のさいたま新都心店、また、宮城県の仙台店、愛知県の名古屋店の合計6店舗を設置しており、いずれの店舗についても、売り上げが好調に推移しております。
  道産品の道外への販路拡大に当たっては、全国的に知名度が高まってきているどさんこプラザの果たす役割は大きいものがあると認識し、道産品の魅力を発信する拠点として、道外における新たな店舗展開に向け、必要な情報提供などを含め、今後とも、関係者と協議を進めてまいる考えであります。


質問

三 科学技術振興について
 (一) 第2期に向けた取組などについて

  次は、科学技術振興についてです。
道総研は、本年度より、第2期の中期計画期間に入っております。
評価委員会による第1期業務実績評価では、全体としては目標達成状況は良好としながらも、特許の実施許諾件数などは目標を下回っていること、外部資金確保の取り組みについては、件数や実績額が減少傾向にあることを指摘しています。
  まず、この点につきましての知事の受けとめと、2期目に向けた取り組みについて見解を求めます。

答弁(窪田毅・総合政策部長)

  科学技術の振興に関し、道総研の第2期へ向けた取り組みなどについてでありますが、道総研におきましては、平成22年度からの第1期中期目標に基づき、これまで、毎年、700課題を超える研究に取り組み、新しい業務用米や木材の乾燥技術の研究開発を初め、企業、大学との連携協定の締結数などが数値目標を上回るなど、着実に成果を上げているものと認識いたしているところでございます。
  一方で、経済情勢により、企業等が研究開発を手控えた面もあることなどから、第1期の業務実績評価において、特許の実施許諾件数や外部資金の獲得などについて一層の努力が求められているところでございます。
  こうした取り組みは、道総研における多様な財源の確保や研究成果の還元などにもつながるものでありますことから、道といたしましては、本年度から始まっております第2期の中期目標において数値目標を設定し、着実に実現できるよう促しているところであり、今後とも、地域のニーズに応え、産業振興などにより一層貢献できるよう、引き続き支援をしてまいる考えでございます。

質問

 (二) 道と道総研の関係について
  次に、そもそも道総研の役割とは何なのかという基本的な問題です。
道民や地域のニーズが複雑化、多様化している中で、道民生活の利便性や快適性を向上させることは重要です。道総研の役割の一つは、地域に密着し、地場のニーズに実践的に応える研究開発を進めることでしょう。
  と同時に、道総研にはもう一つの大きな役割があると私は考えます。それは、知事の政策展開を科学的、技術的に支える研究開発機関という位置づけです。知事の認識と今後の取り組みについて伺います。

答弁(知事)

  道総研との連携についてでありますが、道総研では、本道の基幹産業である1次産業の調査研究を初め、食品加工などの企業等の商品開発など、地域に密着した課題の解決に向けた支援のほか、食やエネルギーなど、道の重要施策にかかわる分野横断型の課題について、複数の試験研究機関が連携して実施する取り組みがなされているところであります。
  私といたしましては、道総研は、これまで培ってきた豊富な知識や技術を初め、幅広い分野にわたる研究開発機能を生かし、道の重要施策の推進に資する研究機関として、大きな役割を担っているものと考えており、各分野における技術革新やエネルギーモデルの創造など、道の政策目的の実現に向けて、引き続き、道総研がそうした役割を十分に果たしていくことができるよう、緊密な連携のもと、取り組みを進めてまいる考えであります。

質問

 (三) 直流送電と交流送電に関わる国内外の動きについて

  これまで、世界の電力システムは交流送電が主流でした。しかし、最近、欧州では、交流送電に比べ、さまざまな点で優位に立つ直流送電にシフトする動きが加速されております。
  国内においても、経済産業省は、ことし3月、直流給電ができる住宅と、通常の交流給電住宅を比較する実証実験を行いました。その結果、約15%の省エネ効果が確認されたわけです。また、NEDOは、洋上風力発電所からの高効率直流送電システムを開発しています。
  そこで伺います。
  知事は、直流送電と交流送電にかかわる国内外の動きをいかに認識し、いかに対応されようとしているのでしょうか、伺います。

答弁(山根康徳・経済部長)

  科学技術の振興に関しまして、まず、送配電に係る技術開発についてでありますが、発電所からの送配電は、交流が広く世界で普及しておりますが、送電ロスが少ないなど、交流に比べ、優位性も認められる直流送電について、欧州を中心に、地域間連系線に導入されております。
  また、近年、国におきましては、省エネなどの観点から、直流を活用した実証実験などに取り組み始めたところであります。
  直流送電は、今後、研究開発が進められる次世代技術と認識をしておりまして、道といたしましては、引き続き、その動向について情報収集をしてまいる考えでございます。

質問

 (四) 道の省エネ政策への位置づけについて

  時代は、確実に直流時代に向かっております。しかも、太陽光で発電される電気は直流です。それが送電のために交流に変換され、使用される段階で再び直流に変換され、電化製品を動かしているのです。この流れで大きなロスが生まれます。太陽光でできた直流電気をそのままテレビやエアコンで使えば、まさに理想的な地産地消になります。
  実は、シャープは、年内にも直流で稼働するエアコンを発売すると、つい先日発表したわけです。
  直流時代の到来は、省エネを大きく加速させるものと私は考えます。この際、道の省エネ政策に明確に位置づける必要があると考えますが、知事の見解を求めます。

答弁(山根康徳・経済部長)

  直流電力の省エネ効果についてでありますが、国におきましては、太陽電池で発電した直流の電気をエアコンなどの家電製品に直接供給する直流給電住宅システムの実証実験を行い、全て交流で使用する一般の住宅に比べ、約15%の省エネ効果を確認したと承知しております。道といたしましては、直流電力の活用は、省エネ政策の推進に寄与し得ると考えており、次世代技術として、引き続き、その動向について情報収集を続けてまいる考えでございます。

質問

 (五) 直流送電に係わる研究開発について

  道総研では、直流、交流にかかわるシステム開発を進めていると承知しております。
道としては、省エネ政策を前進させるためにも、研究室でのシステム開発に続き、直流の太陽光発電と系統交流電源を組み合わせた実証試験などを行う段階に来ていると私は考えております。いかがでしょうか。

答弁(山根康徳・経済部長)

  直流送電に係る研究開発についてでありますが、道総研の工業試験場におきましては、平成24年度から26年度にかけて、直流システム開発に係る研究を企業と共同で実施しており、その研究内容は、太陽光発電などの再生可能エネルギーを優先的に利用し、悪天候の場合などには、商用電源を最小限使用して、必要な電力を賄うシステムと承知しております。
  道といたしましては、今後の直流送電にかかわる研究の進展の状況について引き続き注視するとともに、工業試験場といたしましては、直流電力の利用による優位性を生かすため、道内企業の用途検討を支援することとしているところでございます。


質問

四 道庁周辺整備について
 (一) 道庁周辺整備について

  次に、道庁周辺整備についてです。
  道議会庁舎は、現在、議会で改築について検討を進めております。改築した場合、新しい議会庁舎は、現在の建築技術及び資材品質を勘案すれば、今後100年の歴史を背負うことになると私は考えます。
  本庁舎、重要文化財である赤れんが庁舎、そして改築される道議会庁舎という、それぞれ異なる性格を持つ建物が一つに集約される独特なエリアになるわけです。
  そこで伺います。議会庁舎の改築をきっかけとして、このエリア全体を、次の時代に向けて進化を続ける、仮称「100年の庭」と位置づけ、整備を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。

答弁(知事)

  道庁本庁舎の周辺地区についてでありますが、この地区は、北海道の行政機能の中枢地区としての位置づけのほか、赤れんが庁舎や、開拓使当時の面影を残している前庭などが、道民や多くの観光客に深く親しまれる場となっているところであります。
また、札幌市が平成14年に策定した都心まちづくり計画において、この地区は、歴史的価値の継承や新たな魅力の創出を目標としたエリアとして位置づけられているところであります。
  このため、道庁本庁舎の周辺地区の整備については、周辺環境との調和を図るとともに、札幌市のまちづくり計画なども踏まえながら、次の世代に引き継いでいけるよう、将来にわたって、こうした特徴を生かした地区としていく必要があるものと考えております。

質問

(二) 道庁周辺における公園整備について

  進化を続ける「100年の庭」は、道民に開放されるとともに、北海道の持つ魅力や可能性、歴史、文化を発信するエリアにすべきと考えます。
  例えば、札幌市とも協議の上、重要文化財である札幌時計台を移設し、さらに、将来的には、知事公館、道立美術館に至る、都市公園として整備するならば、マンハッタンのセントラルパークに匹敵する施設として、世界の注目を集めることになるでしょう。いかがでしょうか。

答弁(笠置隆範・総務部長)

  道庁周辺整備に関し、まず、都市公園としての整備についてでありますが、公園は、緑豊かな都市環境の形成はもとより、歴史、文化、観光の発信の場などとして、さまざまな活用が図られているところでございますが、道庁から、西側の道立美術館に至るエリアを都市公園として整備することにつきましては、既に立地しておりますオフィスビルやマンションなどの高層建築物の移設でありますとか、交通ネットワークといった都市機能への影響など、現時点では困難な課題があると認識しております。
  道といたしましては、まずは、年間に50万人の方々が訪れる、本道有数の観光拠点である赤れんが庁舎と、その周辺地区の魅力を高めるための取り組みを進めるとともに、北海道の魅力や歴史、文化などの国内外への発信に努めてまいりたいと存じます。

質問

(三) 道庁エリアへの新エネルギー導入について
  電力供給問題も重要な課題です。
  道庁エリアの再整備にあわせ、三つの庁舎に供給する電力についても、太陽光発電や風力発電と組み合わせる形で、ガスコージェネレーションシステムを導入し、エネルギーの地産地消のモデルにすることも大切と考えます。知事の見解を伺います。

答弁(笠置隆範・総務部長)

  次に、道庁本庁舎等への新エネルギーの導入についてであります。
新エネルギーの導入は、二酸化炭素の削減など、環境への負荷が軽減されるとともに、エネルギーの地産地消の観点からも大切なものと考えております。
  道におきましては、これまで、道有施設の庁舎などに太陽光発電設備を設置するとともに、本庁舎においては、窓ガラスの断熱化、空調設備の省エネ機器への更新を行うなど、新エネルギーの導入や省エネ対策に努めてきているところでございます。
  道としては、今後とも、必要なエネルギーに係るコストや安定性、利用効率など、導入効果を十分に検証しながら、ガスコージェネレーションシステムなど、新エネルギーの導入も視野に入れ、本庁舎等におけるエネルギーの確保を図ってまいりたいと存じます。
以上でございます。

質問

五 エネルギー問題について
 (一) 再生可能エネルギーの導入について
  1 太陽光発電に関わる情報提供について

  次に、エネルギー問題についてです。
  まず、太陽光発電の導入促進についてです。
道は、市町村と連携し、太陽光発電所建設候補地をリストアップするとともに、関係法令及び窓口についても情報提供をしていると承知しております。
  しかしながら、情報は公有地に限られています。地目はさまざまでしょうが、民有地にも目を向け、総合的な情報とすべきではないでしょうか、伺います。

答弁(山根康徳・経済部長)

  太陽光発電についてでありますが、道におきましては、固定価格買い取り制度の創設を機に、道内での立地を促進するため、公有地に係る太陽光発電の適地の情報提供を行ってきたところでございます。
  この間、既に、道内各地におきまして、道内外の多くの事業者により、太陽光発電の事業化に向けた取り組みが進められております。
  民有地につきましては、個人情報の扱いなど、さまざまな課題があるものの、道といたしましては、今後とも、事業者からの相談などにつきまして、適切に対応してまいる考えでございます。


質問

 (一) 再生可能エネルギーの導入について
  2 荒廃農地の有効活用について

  不動産登記法では、国内の土地を23種類の地目に分類しています。太陽光発電を事業として展開しようとする場合、地目ごとに各種法令の制限があることは承知をしております。
  官民を問わず、遊休地を有効活用することは重要です。道は、荒廃農地の中で再利用が困難な農地の解消に努めているわけですが、例えば、そうした農地を利用してパネルを敷設できれば、道は導入促進、事業者は土地取得、農家は土地の有効活用となり、まさに三方よしです。いかがでしょうか。

答弁(土屋俊亮・農政部長)

  荒廃農地の活用についてでありますが、耕作の放棄によって荒れ果て、通常の農作業では作物の栽培が不可能であると認められる荒廃農地につきましては、毎年、市町村と農業委員会が合同で現地調査を行い、再生可能とされるものについては、農地中間管理機構への貸し付けを誘導するなど、農地としての活用を促進することとしてございます。
  一方、傾斜地や排水性が悪い土地など、農地として再生困難とされるものにつきましては、地域の関係者の合意を得ながら、非農地とする判断を行った上で、農地以外の有効活用を進めることとされており、荒廃農地のうち、このように区分されたものにつきましては、太陽光発電も、地域の振興につながる活用方法の一つであると考えているところでございます。

質問

 (一) 再生可能エネルギーの導入について
  3 ワンストップの説明体制について

  また、道の情報提供は、各種法令ごとに相談先が明記されておりますが、関係各部にわたって、非常にわかりづらいのが実態です。導入を飛躍的に促進するためには、もう一歩踏み込んだワンストップの説明体制が必要と考えます。いかがでしょうか。

答弁(山根康徳・経済部長)

  新エネルギーに関する道の相談体制についてでありますが、道におきましては、新エネルギーの導入に際し必要となる許認可等の手続や所管部署をホームページで情報提供しておりますほか、新エネルギー全般に対する相談につきまして、経済部及び振興局の窓口で対応してきております。
  また、必要な手続や関係者との調整が多岐にわたる地熱発電や中小水力発電に関しましては、庁内連絡会議を設け、具体的な相談に応じているところでございます。
道といたしましては、今後とも、事業者などの相談内容に応じて、必要な手続が円滑に進むよう、関係部等が連携して適切な対応に努めてまいります。

質問

(二) 洋上風力発電について
  1 洋上風力発電に対する知事の認識について

  次に、洋上風力発電についてです。
  欧州において、洋上風力発電は、再生可能エネルギーの主流となりつつあります。
洋上風力発電は、陸上のそれに比較し、多くのメリットがあると私は考えておりますが、洋上風力発電に対する知事の認識並びに今後の対応について伺います。

答弁(知事)

  洋上風力発電についてでありますが、風車の大型化などにより、陸上に比べて高い発電効率が期待できるほか、騒音などの住民生活への影響が少ないなど、新エネルギーの拡大を図る上で、洋上風力は重要なエネルギー源と考えているところであります。
  国では、実証実験などの環境整備を進めているところであり、道内では、石狩湾新港地域において、商用運転に向けた具体的な動きが出てきているところであります。
  道といたしましては、本年度、新たに、セミナーの開催や、利用海域などを設定するゾーニングをモデル的に策定する取り組みを進めることとしており、引き続き、市町村と連携しながら、洋上風力発電の導入促進に向けた環境整備に取り組んでまいる考えであります。


質問

(二) 洋上風力発電について
  2 国の実証試験の誘致について

  洋上風力発電の課題解決のため、国は全国で実証試験を展開しています。四方を海に囲まれた本道は、本来、実証試験の適地であったはずです。
これまで、国の実証試験を誘致した経緯はないのでしょうか。ないとすれば、なぜなのか、理由とともに伺います。
  また、今後、新たな分野で、洋上風力発電に関する国の実証試験などが実施される場合には、これまでの経緯を踏まえ、道内において行われるよう、積極的に誘致すべきと考えます。あわせて伺います。

答弁(山根康徳・経済部長)

  洋上風力発電に関する国の実証試験の誘致についてでありますが、道におきましては、平成25年に、海洋再生可能エネルギーにかかわる国の実証実験海域の公募を受け、応募予定地を選定し、風況調査や地域への効果影響の試算など、洋上風力発電の実現可能性に関する基礎調査を行い、実証実験への応募を検討したところでありますが、実験フィールドを利用する事業者の確保など、国が求める要件を満たせず、応募には至らなかったところでございます。
  今後、国におきまして、新たな実証試験の公募が行われる場合には、新エネルギーの導入を促進するという観点から、実施の必要性につきまして検討し、適切に対応してまいります。

質問

(二) 洋上風力発電について
  3 離島における導入効果について

  来年度からは、電力の小売が完全に自由化されます。洋上風力発電の実用化は、離島における電力供給問題に重要な意味を持つと考えます。知事の認識と対応を伺います。

答弁(山根康徳・経済部長)

  次に、離島における洋上風力発電の導入効果についてでありますが、離島は、四方を海に囲まれており、洋上風力のポテンシャルが高いものと考えられます。
  また、離島は、電力系統が隔離され、風力などの出力変動の調整面での制約があり、洋上風力など新エネルギーの導入促進に向けましては、蓄電や出力制御を初めとしたエネルギーマネジメントに関する新たな技術開発など、さまざまな課題がありますが、引き続き、国の動向や研究開発の状況について把握してまいります。

質問

(二) 洋上風力発電について
  4 地場産業のビジネスチャンスについて

  NEDOが進める洋上風力発電等技術研究開発のプロジェクトリーダーの石原教授は、国内で、部品の開発、試験、製造ができるようにしないと、国際競争力は上がらないと指摘されております。
  再生可能エネルギーの導入促進は、同時に、道内の部品メーカーを初め、地場産業のビジネスチャンスとしても意義を持たなければなりません。見解を伺います。

答弁(知事)

  新エネルギーにおける地場企業の参入についてでありますが、風力発電設備の製造は、多くの部品から成る加工組み立て型産業であり、その生産拡大やメンテナンスなどを含め、本道においても、大きな経済波及効果が期待できると考えるところであります。
  本道では、道北地域の送電網整備事業、石狩湾新港地域での洋上風力発電事業などを通じて、これまでを上回る規模の風力発電の導入が計画されているところであり、道といたしましては、こうした動きが本道経済の活性化に結びつくよう、関連産業の誘致や地場企業の参入促進に取り組んでまいる考えであります。


質問

(三) 水素発電について
  1 水素社会の未来像について

  次に、水素発電についてです。
  道が、水素社会実現に向け、さまざまな作業を進めていることは承知しております。しかし、そこからは、水素社会が本来持つ、わくわくするような夢や、血液の泡立つような興奮が残念ながら伝わってまいりません。
  化石燃料やウラン燃料に依存してきたエネルギー社会が前史であるならば、水素社会の到来は、エネルギーの歴史の本史とも言えるわけであります。
  水素社会は緒についたばかりですが、その可能性と将来性は、私たちの想像をはるかに超える世界として広がるものと私は考えます。水素社会の未来像について、知事はどうお考えでしょうか、伺います。

答弁(知事)

  次に、水素社会についてでありますが、水素の利活用については、技術面やコスト面などで課題はあるものの、国の水素・燃料電池戦略ロードマップでは、今後、さまざまな技術開発や実用化を積極的に進めることとしているところであります。
  水素エネルギーは、太陽光や風力など、本道の豊富な再生可能エネルギーを活用して、大量に製造することが可能な、次の世代を担うクリーンエネルギーと認識しているところであり、将来、水素の利活用が飛躍的に拡大し、暮らしや産業を大きく変える水素社会が実現することを期待するものであります。

質問

(三) 水素発電について
  2 水素発電の位置づけについて

  水素社会実現のためには、水素の需要量を飛躍的に拡大させなければなりません。今のところ、家庭用燃料電池や燃料電池自動車の開発が主流となっていますが、より大きな需要を実現するためには、水素発電技術が重要と考えます。二酸化炭素や高レベル放射性廃棄物を出さない新世代の火力発電であります。
  道のエネルギー政策に水素発電をしっかり位置づけ、将来の導入を促進すべきと考えます。いかがでしょうか。

答弁(山根康徳・経済部長)

  水素発電の位置づけについてでありますが、国の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」では、2030年ごろに水素発電を本格的に導入することを目標に掲げており、国内では、水素と都市ガスの混焼によるガスタービンの実証運転の取り組みが開始されたところでございます。実用化に向けましては、技術面やコスト面で多くの課題がありますほか、電気事業法などの法令整備も必要と承知をしているところでございます。
  一方、水素は、将来の主要なエネルギー源と期待されており、道といたしましては、国の動向や研究開発の状況などを注視いたしますとともに、本道ならではの特性を生かした水素関連の技術開発の可能性についての検討を進めてまいります。

質問

(三) 水素発電について
  3 道有施設への再生可能エネルギーの導入について

  再生可能エネルギーを主要な電源の一つにするためには、国の技術開発や事業者の自発的参入に期待するだけでは不十分です。道みずからが、民間企業の事業参入を促すための具体的な支援策を打ち出すことが求められます。同時に、道有施設そのものに、計画的かつ積極的に再生可能エネルギーを導入すべきです。あわせて伺います。

答弁(知事)

  新エネルギーの導入に向けた支援などについてでありますが、道では、これまでも、地域や事業者の取り組みの段階に応じた支援や、道内の企業の技術・製品開発、風力などを活用した発電事業への助成など、新エネルギーの導入促進に努めているところであります。
  また、道の庁舎や学校、試験研究機関などの施設において、太陽光発電や風力発電、地中熱ヒートポンプなど、さまざまな設備を設置し、新エネルギーの率先的な導入にも取り組んでいるところであります。
道といたしましては、今後とも、地域での新エネ導入の推進モデルとなるよう、道有施設への導入を着実に進めてまいる考えであります。

質問

(四) 知事の政治姿勢について

  質問の最後は、知事の政治姿勢についてであります。
  北海道は、これまで、さまざまな分野で国に頼ってきた側面があると思います。これからは、豊富な再生可能エネルギーを有する北海道として、国に頼るのではなく、逆に国から頼られる存在になるべきと私は考えます。それこそが国をつくる気概、建国の気概です。国と北海道の関係における将来像をどうお考えですか、知事の所見を伺います。

答弁(知事)

  エネルギー政策に関する私の考え方についてでありますが、エネルギーは、道民生活の向上や、農林水産業、商工業、観光業を初めとした道内経済の維持発展にとって重要な基盤であります。
  国は、エネルギーに関する施策の長期的な方向性を定めたエネルギー基本計画において、再生可能エネルギーの導入を積極的に推進するとしているところであり、私といたしましては、本道の高いポテンシャルを生かし、再生可能エネルギーの導入を積極的に進め、我が国全体のエネルギーの多様化に貢献していくことが重要であると考えているところであります。

 
(2015年9月18日/本会議一般質問)

HOSHINOTAKASHI